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ネット風評被害の恐怖

  • 2016年12月26日 | 5,465view

ネットの名誉毀損で訴訟!裁判を起こした場合の慰謝料相場は?

裁判

日常的にインターネットを使用していると、SNSやインターネット掲示板などで誹謗中傷の被害を受けることがあるかもしれません。ネットに書き込まれた内容が名誉棄損に該当する場合は、削除や発信者情報開示請求をしたり、悪質な場合は慰謝料を請求することが可能です。慰謝料が請求できる場合の相場は、どれくらいになるのでしょうか。

ネットの名誉毀損に強い弁護士一覧

名誉毀損と侮辱罪との違いとは?

近年、人間関係のトラブルや、利用したお店や施設で不愉快なことがあった場合、その被害者がインターネットの匿名性を利用して誹謗中傷まがいの内容を投稿して問題になることが増えています。内容によっては名誉毀損や侮辱罪に当たるケースもありますが、具体的にどのような書き込みが罪になるのでしょうか。

名誉毀損とは何かを理解しよう

名誉毀損とは、公の場で不特定多数の人に向けて具体的な事実を摘示することで、相手の社会的評価を低下させることです。書いた内容が真実であるかどうかは関係ありません。

名誉毀損とは虚偽の事実を書くことだけではない

名誉毀損について誤解されがちなのは、虚偽の事実を書くことだけが名誉毀損ではないことです。実際は、「事実」「真実」をネットに書き込むことでも名誉毀損になることがあります。具体的に相手を貶めることを書いて相手の社会的評価を下げることになれば、それは虚偽の事実でないとしても名誉毀損が成立します。

名誉毀損に該当しても違法にならないケースもある

主に有名人や政治家のスキャンダルや犯罪報道などが該当しますが、書き込みの内容が次の3つの要件に該当する場合には、例外的に名誉毀損が成立しないとされています。これらは違法性阻却事由といわれるものです。

名誉毀損が成立しないケース
事実の公共性 摘示した事実が公共の利害に関する事実であること
目的の公益性 摘示した目的が公益を図ることであること
真実性・相当性の証明 摘示した事実が真実であり、尚かつ真実であると信じた相当な理由があること

侮辱罪との違いとは

インターネットで問題になっている誹謗中傷に対して、侮辱罪という罪があります。名誉毀損と混同されることがありますのでその違いをみておきましょう。

侮辱罪とは

侮辱とは、具体的な事実を示さず、公然と人を侮辱し、その人の社会的評価を落とすことをいいます。刑法231条によると、侮辱罪では1日以上30日未満の拘留または1000円以上1万円未満の科料に処せられます。

名誉毀損と侮辱の違いとは

侮辱罪と名誉毀損罪との違いとは、「具体的な事実を摘示しているか否か」にあります。名誉毀損罪は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が課されています。名誉毀損罪では具体的な事実が摘示されている分、罪の大きさは侮辱罪よりも大きくなります。

誹謗中傷対策 その1:プロバイダ責任制限法に基づく依頼

プロバイダ責任制限法とは、権利の侵害が生じた際、プロバイダやサイト管理者などの損害賠償責任を制限し、発信者情報の開示を請求する権利について定めている法律です。この法律に基づき、誹謗中傷対策として、送信防止措置や発信者情報開示の請求ができるようになっています。
送信防止措置依頼請求とは

誹謗中傷された内容をネット上に残したままにしておくと、他者がそれを見ることで情報が拡散してしまう恐れがあります。そのため、当該記事を削除するにはサイト管理者やプロバイダなどに送信防止措置依頼を行うことが必要です。

送信防止措置請求権利って何?

送信防止措置請求権とは、ネット上で権利侵害をされた人がサイト管理者やプロバイダなどに対し、情報の送信を止めることを依頼できる権利です。情報はユーザーによって送受信されており、有害な情報の送信を防止してしまえば、ユーザーは当該情報の受信ができなくなるとの考え方に基づいています。この制度を「送信防止措置」といいます。

送信防止措置依頼書作成に必要な情報とは

送信防止措置依頼書に記載すべき点は以下のとおりです。

  • 誹謗中傷の内容が掲載されているURLやブログ名(問題のある部分全て)
  • 書き込み内容の要約(文章が短ければコピー&ペーストしても可)
  • 侵害されたとする権利(名誉毀損、プライバシー権など)またその理由について 

送信防止措置依頼をする際の注意点

送信防止措置依頼をする際には、画面のキャプチャなどの証拠が必要です。また、依頼書には、侵害された権利と理由の整合性をきちんと持たせる必要があります。これらの整合性が取れているかどうか自分では判断がつかない場合は、ネット問題に強い弁護士に相談して指示を仰ぎましょう。

発信者情報開示請求とは

書き込み内容が悪質なときは、サイト管理者やプロバイダに発信者情報開示請求をすることで、情報発信者の氏名や住所を特定し、本人に損害賠償を求めることも可能です。開示請求をすれば情報が必ず開示されるとは限りませんが、トライしてみる価値はあります。

発信者情報開示請求書に必要な情報とは

発信者情報開示請求書に記載すべき情報は次のとおりです。

  • 誹謗中傷の内容が書き込まれたサイトのURL(掲示板であれば、書き込みのあるスレッド名や具体的な箇所)
  • 書き込まれた内容の概要(文章が短ければコピー&ペーストしても可)
  • 侵害された権利とその理由
  • 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由
  • 開示を請求する発信者の情報
  • 発信者に示したくない個人の情報

発信者情報開示請求をする際の注意点

発信情報開示請求書を作成する際には、送信防止措置依頼と同様、画面のキャプチャを撮る、PDFにして出力する、紙を印刷するなどして証拠を保全することが必要です。またそれらにURLが表示されており、書き込みの内容が分かるもので、何らかの権利侵害があることが必要です。書き込み内容が権利侵害にあたるかどうかについては、弁護士に相談してみることをおすすめします。

対策2:裁判所でできる手続き

送信防止措置依頼や情報開示請求をしても任意に削除や開示がなされない時には、裁判所に仮処分の決定を得ることによって、犯人に削除・情報開示を求めることが可能です。

仮処分の申立て

直接サイト管理者やプロバイダへ誹謗中傷記事の削除依頼をしても応じてもらえなかった場合は裁判所へ仮処分の申立てをします。申立てにあたり数十万円の担保金が必要ですが、仮処分命令が下れば削除や情報開示に応じてもらえる可能性が一段と高まるでしょう。

削除の仮処分

書き込み削除の仮処分決定が得られれば、それを盾にサイト管理者へ削除を請求することが出来るようになります。削除に関する仮処分の申請をする際には、民法709条の不法行為責任に基づく申請となるため、被害者の住所を管轄する裁判所に申し立てることが可能です。

発信者情報開示請求の仮処分

発信者情報開示請求に関する仮処分の申立てを行うことで、犯人に関する情報を入手できる可能性が高くなります。発信者情報開示は不法行為責任に基づくものではないので、原則として債権者(サイト管理者・プロバイダ)側の居所を管轄する裁判所に申立てを行います。

慰謝料を請求するときは

ネット上の誹謗中傷や風評被害につながる書き込みにより、何らかの損害を受けた場合、相手方に慰謝料を請求することが可能です。その場合、内容証明郵便で慰謝料の請求をしたい旨を伝え、相手方と示談交渉を行います。相手方がこの請求に応じない場合は、裁判所に慰謝料請求の訴えを起こして争うことが可能です。では慰謝料の相場とはどれくらいなのでしょうか。

慰謝料の相場とは

被害者が一般人の場合、名誉毀損に対する慰謝料の相場は約10万〜50万です。これはネット上のプライバシー件侵害であっても同様です。また相手が企業で、企業の信用を失墜させた場合には50万〜100万程度となっています。ヌード写真を掲載されたなどの特殊なケースでは、慰謝料が数百万程度になるケースがあります。一方、対象者が有名人(政治家や芸能人など)の場合は高額となり、過去には400~600万程度の支払いが命じられたケースもあります。(※1)

慰謝料請求の交渉の進め方はどうする?

交渉する場合、徐徐に減額されることが普通ですので、初めから上記の金額を提示するのは賢いやり方ではありません。初めは少し高めに設定をして交渉をすすめていくのがいいでしょう。

インターネットではお互いの顔が見えない分、ちょっとしたことでもSNSや掲示板に大げさに書いてしまうものです。書き込みの内容が悪質になれば、何百万もの損害賠償問題になることもあります。被害者にならないようにするのはもちろん、加害者にもならないようにするために、ネットユーザーは十分なネットリテラシーを身につける必要があるでしょう。

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