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誹謗中傷や名誉毀損に関する法律(権利)

  • 2017年10月03日 | 5,710view

名誉棄損における裁判事例(ネット・テレビ・雑誌・週刊誌など)

裁判

事実無根の風評を流布し他者の名誉を傷つける「名誉毀損行為」は、いつの時代も絶えないものです。名誉毀損罪は親告罪ですが、被害者が声を挙げれば裁判沙汰になることもあります。そこで今回は、ネット・テレビ・雑誌・週刊誌等で発生した名誉毀損における裁判事例を紹介しながら、ケース毎の問題点等について検証します。

名誉棄損における裁判事例

名誉棄損罪は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と刑法第230条で規定されていて、実は日本でもかなり多い事案の一つとされています。

名誉棄損とは

そうは言っても名誉毀損の問題は複雑な要素も絡んでくるので、今一つ理解しきれていない人も多いのではないでしょうか。まず名誉棄損に該当するのはどの様なケースか具体的に見ていきましょう。

真実でないことをあたかも真実であるかのように公表した場合

ここで言う「事実の摘示」とは人の名誉を損なう、若しくはその可能性のある具体的な事柄を文章若しくは口頭で暴き示すこと」です。例えば「彼女は風俗店で働いている」等と根拠のなく「公然」と発言した場合等は名誉毀損該当します。名誉毀損罪は親告罪であるため告訴がなければ訴えを提起することはできませんが、前述の刑事上の責任の他、民事上も問題となり損害賠償や差し止め請求がされることがあります。

表現の自由との兼ね合いから名誉棄損にならないケースも

ただ日本では「表現の自由」が認められているため一定の要件を満たせば誹謗中傷があっても名誉毀損罪に問われないことになっています(刑法第230条2第1項)。
その免責要件は下記の通りです。

  1. 摘示した事実が公共の利害に関する事実
  2. 公共の利益を図る目的でなされたもの
  3. その事実が“真実”であるか(真実性の証明がある)、真実性の証明がなくても真実と信じる相当の理由がある場合

名誉毀損で週刊誌が訴えられた事例

週刊誌と言えば“週刊誌ネタ”等と揶揄される様に概して記事の信憑性は低いと見なされがちです。しかし虚偽の内容を記事にされれば、当然訴訟は起こる訳です。ここでは週刊誌が名誉棄損で訴えられた事例を紹介します。

「週刊文春」が訴えられた事例

皇室関連の高尚な話題から芸能人の不倫報道等下世話なネタまでを幅広く手掛け、人気週刊誌の一つである週刊文春ですが、名誉毀損で訴えられた事例も少なくありません。

元大阪市長の橋下徹氏 性的接待を受けたと掲載され損害賠償請求

問題となった記事は2013年5月30日号。元大阪市長の橋下氏が政界進出前、顧問弁護士をしていた大阪市西成区の「飛田新地料理組合」から、風俗店で性的接待を受けたという内容の記事を掲載したものです。これに対して橋本氏は名誉を傷つけられたとして、週刊文春の発行元の文芸春秋に1100万円の損害賠償を求めました。

文芸春秋に220万の賠償判決

判決は、記事に登場する関係者の証言について「内容を裏付ける客観的な資料がなく、真実とは認められない。真実と信じる相当な理由もない」と指摘し、橋下氏への名誉毀損に当たると認定。政治家としての社会的評価も低下させられたと判断し、同社に220万円の賠償を命じました。

「週刊現代」が訴えられたケース

この他にも、芸能人の名誉棄損を棄損させたとして週刊誌が訴えられた事例は数多くあります。次に紹介するのは「週刊現代」が訴えられたケースです。

元タレントの島田紳助氏 暴力団と交際があると報じられ損害賠償請求

ことの発端は『週刊現代』平成23年10月15日発刊分に「切っても切れない『島田紳助と暴力団』」「紳助、あんたはヤクザだ」等の見出しと共に元タレントの島田紳助氏が暴力団との繋がりがある主旨の記事が掲載されたことです。これに対し島田紳助氏と吉本興業が、週刊現代の発行元の講談社に対して計1億6500万円の損害賠償等を求めました。

判決は原告の逆転敗訴

一審・東京地裁は島田氏の請求を棄却し、「所属タレントが暴力団との関係に寛容との印象を与えた」と吉本興業への名誉毀損のみ認め110万円の支払いを命じましたが、二審は「暴力団との関係を指摘されたのに事実関係を把握しようとしなかった」と吉本興業も逆転敗訴との結果になりました。「極道の世界の一員と知りながら紳助と契約していた」との記述部分については「社会的信用を低下させた」と判断しました。

ネット上の名誉毀損による裁判事例

詐欺商法やステルスマーケティング、クレジットカードの不正利用にオークショントラブル。インターネットには様々な問題が付き物ですが、誹謗中傷等による名誉毀損もまたその一つです。

ネット上の名誉毀損による裁判事例

インターネット上の名誉毀損の場合は他のメディアのそれと比較して多くの点で状況が異なるため、原告側個人での対応は難儀しがちです。しかしプロバイダーに書き込み主の個人情報開示の請求をして裁判を起こすことが可能で、此の程ではインターネットの名誉毀損に特化した弁護士等も存在し、実際に裁判に至るケースは多いのです。

匿名掲示板での名誉毀損

2011年日本最大級の匿名掲示板「2ch」の書き込みによって名誉を傷つけられたとして、タレントの麻木久仁子氏がプロバイダーを相手取り発信者の情報開示を求める裁判を起こした事例です。問題の書き込みは2011年1月5日に投稿されました。同士の名前をタイトルに含むスレッド内に彼女の娘への中傷を思わせる書き込みがなされたのです。麻木氏は投稿を媒介したプロバイダーの「浜松ケーブルテレビ」に発信者情報の開示を求めるも、「名誉毀損に当たるかは判断しかねる」として拒否されました。そして麻木氏は、静岡地裁浜松支部に同社を提訴することになります。

原告の全面勝訴

裁判は、プロバイダー側が「裁判所に判断をゆだねる」として積極的に争う姿勢を示さなかったことから、即日結審で原告の全面勝訴となりました。名誉毀損は明らかとして請求通り、発信者の情報開示命令を下しました。当ケースでは問題となった箇所は「16歳長女」とされるにとどまり、実名の記載は無かったにも関わらず、名誉毀損罪が成立すると司法が判断した点です。この判例によって、ネットユーザーの行き過ぎた誹謗中傷に歯止めがかかる期待が高まりました。

ネット上の名誉棄損問題に一石を投じた事例

この他にもネット上の名誉毀損事例は数多ありますがインターネット上でのそれは加害者の特定が困難等の実情があり、厄介なのが実情です。以下に紹介するのは最終的な判決確定に至るまでの経緯等が他のケースとは一線を画した事例と言えます。

ラーメン甲の裁判事例

様々なネットランチャイズによる飲食店『ラーメン甲』の加盟店の募集等を手掛ける「乙株式会社」の名誉を棄損しようと企てた事例です。内容は被告が「丙観察会 逝き逝きて丙」と題するホームページにおいて「インチキ FC 甲粉砕!」「貴方が『甲』で食事をすると、飲食代の 4~5%がカルト集団の収入になります」等と甲食品がカルト集団である旨の虚偽の内容を記載した文章を同ホームページの広告を引用したページに掲載し、さたにあたかも同社が虚偽の広告をしているかのように記載した文章等を掲載し続け乙株式会社の名誉を毀損したものです。

最終的には有罪だったが一審では無罪

この事例で第一審ではインターネット上の表現行為については新たな基準が適用されるべきとして名誉毀損罪の構成要件には該当すると認めたものの、インターネット上の個人利用者によるこの手の情報はそもそも信頼性が乏しいこと等を理由に、被告人に無罪を言い渡しました。しかし最高裁ではそれに対し「個人利用者がインターネット上に投稿したものであっても押しなべて信憑性の低い情報として閲覧者が受け取るとは限らない」等として一審による新たな基準を否定し、罰金30万円と判決されました。

ネット上の名誉棄損について、一審では無罪判決だった

この事例で注目すべきなのは、最終的には有罪判決が下ったものの、一審ではインターネット上の名誉毀損では特段の要件を当てはめるべきとして一旦は無罪判決が出た点でしょう。この事実は今後も無くならないことが予想されるインターネット上での誹謗中傷や名誉毀損罪、及び侮辱罪に関する法の在り方に一石を投じたと言えます。

テレビ放送で名誉棄損、裁判になった事例

不特定多数の人が利用するメディアでの発言は常に公然性を伴うことになるので、この様に裁判沙汰になるケースも少なくありません。そしてそれはテレビでの名誉毀損もまた然りです。

ダイオキシン報道事件

テレビ放送で名誉毀損裁判沙汰になった事例としてもっとも著名なものの一つが1996年に起きたこの事例でしょう。当時はダイオキシン問題についての議論が盛んに行われていたこともあり、大きな波紋を呼びました。

ニュースステーションダイオキシン報道事件

発端は1996年2月1日のことでした。テレビ朝系列の報道番組「ニュースステーション」は「汚染地の苦悩・農作物は安全か?」と題し、所沢産のホウレンソウのダイオキシン汚染度が高いとする報道をします。この放送がきっかけとなり、所沢産だけでなく埼玉産の野菜までが入荷停止や販売停止となって、価格の大暴落が起こってしまったのです。

しかし後にダイオキシン汚染されていたのはホウレンソウではなく煎茶であったことが判明。すると所沢の農業生産者らは、ニュースステーションを批判し始めます。そして同年9月2日に「価格の暴落は風評被害で、報道は真実ではない」と主張し全国朝日放送と環境総合研究所に対し、総額約2億円の損害賠償を求める訴訟を浦和地裁に起こすに至ったわけです。

最終的には和解した

裁判所は放送の重要部分は「所沢産の葉物野菜が全般的に高濃度のダイオキシンに汚染されている」という部分だと位置づけ、「他の研究機関がわずか1検体の白菜から似た濃度の値を検出したからといって、全般的に汚染されていることが真実だという証明にはならない」と結論づけ、一審、二審共に農家側の敗訴となりました。しかし農家側が上告しもつれ込んだ最高裁では、2003年10月16日テレビ朝日側勝訴の二審判決を破棄し、高裁に差し戻したのです。結果、最終的には和解に至りました。

当時のダイオキシン問題に対する風潮とスタッフの準備不足が原因

この事例の背景にあるのは当時ダイオキシン問題が盛んに議論されていたことに加え、ニュースステーションの放送が急きょ決まり、スタッフがダイオキシンに汚染されているのは野菜であると誤認したまま放送されたこと等があると言えるでしょう。

フジテレビが受刑者に名誉棄損で訴えられる

また最近のものでは、2015年~16年にかけてフジテレビの報道が虚偽の情報を流したとして名誉棄損で提訴され損害賠償を請求された事例があります。

受刑者が名誉棄損でフジテレビを提訴

受刑者は2015年8月、里子の当時3歳の女児を暴行して死なせたとして逮捕されます。事件に関してフジテレビは受刑者が証拠隠滅を図ったとして報道しますが、これに対して傷害致死罪で実刑が確定した受刑者が、名誉を汚されたとして裁判を起こしたのです。

フジテレビ側が敗訴、20万円の損害賠償の支払い

一審東京地裁判決は、受刑者が証拠隠滅を図ったとする報道の一部が事実でないと指摘。二審東京高裁もそれを支持し、結局フジテレビ側に20万円の損害賠償の支払いを命じました。

フジテレビにはこの件以前から情報のねつ造疑惑がありました。2011年には一般人有志によって大規模デモが行われる等、捏造が問題となっていたと言い、視聴率を上げるために今回も情報をでっち上げたのでは、との声もあがっています。事実の程はさておき、報道局としての自覚に足りていなかったことが背景にあるのは間違いなさそうです。

名誉棄損は誰にでも起こり得る犯罪行為

名誉毀損の裁判事例は昔から存在しますが、誰にでも起こり得る、非常に身近な犯罪行為であると言えます。特に近年は人々の権利意識の高まりから、思わぬことが発端となり裁判沙汰に発展し兼ねないので特に不特定多数の人が接触する公の場での発言には注意が必要です。

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