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誹謗中傷や名誉毀損に関する法律(権利)

  • 2016年10月17日 | 1,973view

名誉棄損罪と侮辱罪の違い|誹謗中傷の種類について

誹謗中傷

名誉毀損も侮辱行為も、公然とだれかの社会的評価をおとしめる表現をする点で共通しています。しかし、「具体的な事実の摘示」があるかどうかで両者に違いが生じます。両方とも刑法上の犯罪となり、悪質なケースの場合は裁判で訴えることもできるので、もし被害を受けた場合はITに強い弁護士に相談の上手続きをおまかせすることをおすすめします。

名誉毀損罪って何?

ネットやメディア、また公衆の面前で人の悪口を言うと名誉毀損になると考える人は多いのではないでしょうか。では、名誉毀損とは何か、そもそも名誉権とは何なのかについて考えてみましょう。

名誉って何だろう?

名誉とは、外部の人から受ける社会的評価のことを言います。その名誉が公然と毀損されることがあれば、自分の友人・知人だけでなく、知らない人からも「あの人はこんな人なのだ」とのイメージを植え付けてしまうことになりかねません。

名誉毀損・誹謗中傷に関する相談件数は年間1万件

警察庁の広報資料によると、平成23年度から平成27年度までの名誉毀損・誹謗中傷等に関する相談は毎年1万件前後で推移しています。 平成28年度も上半期だけですでに5,480件もの相談が寄せられており、年度末には1万件前後まで増加することが予想されます。(※1)

名誉権とは

名誉権とは、その人が有している外からの社会的評価に関わる権利のことです。人々が社会生活を送る上で、まわりからいろいろな評価を受けることがよくありますが、それが名誉毀損に関する問題が起きたときに論点となる「名誉」であるとされています。

名誉毀損とは

そんな人々の社会的評価をおとしめるようなことを「名誉毀損」と言います。名誉毀損は刑法上の犯罪のひとつであるため、悪質な場合は犯人が検挙され、裁判で有罪判決を受けることもあり得ます。しかし、仮に特定のだれかの社会的評価を低下させるものでも、公共の具体的な利害に関係し、目的が専ら公益を図ることにあり、かつ、摘示した事実が真実であれば名誉毀損罪は成立しません。

名誉毀損にあたるかどうかの判断ポイント

インターネット上のある書き込みが名誉毀損にあたるかどうかは以下の3つのポイントで判断します。具体的には、どのようなことがポイントになるのでしょうか。

同定可能性があること

インターネット掲示板などで誹謗中傷にあたる書き込みがあっても、その内容が誰に対するものなのかがわからなければ名誉毀損にはあたりません。このことを「同定可能性」と言います。たとえば、実在する会社名を出して、「◯◯社の営業部長M氏」と言うと、対象が絞られるため名誉毀損が成立します。一方、「X県在住の30代の男」と言うと、誰のことを言っているかわからないため、名誉毀損には該当しないこととなります。

社会的評価の低下

ある書き込みについて名誉毀損を成立させるためには、書き込まれた人の社会的地位を低下させる可能性があることが必要です。対象となる読者については、判例上「一般読者」が想定されていますが、この一般読者とは国民全員のことを指すのではなく、「その書き込みに関して媒体の性質上想定される程度の前提知識を持った者」であると解釈されています。(※2)

違法性阻却事由・責任阻却事由がないこと

以下にあてはまらない場合には、名誉毀損が成立すると言われています。

  • 公共の利害に関する事実にかかること
  • もっぱら公益を図る目的でなされたこと
  • 重要な部分の内容が真実であること

仮処分申請をする際には、権利侵害を主張する者がどこまで立証責任を負うかが問題となります。一般的には、本来存在する資料や証拠を秘匿しておらず、できる限りの立証活動がなされた場合には、違法性阻却事由がないことの立証が尽くされたと考えられています。

侮辱罪って何?

では、今度は侮辱罪について考えてみましょう。侮辱罪とはどのようなものか、侮辱罪が成立するための要件は何なのでしょうか。

侮辱罪の成立要件とは

侮辱罪は、名誉毀損とはちがって具体的事実を述べる必要はありません。単に人をおとしめるようなことを言ったり書いたりすれば、侮辱行為に該当する可能性があります。

侮辱罪って何?

侮辱罪とは、具体的な事実を述べずに公然と人の名誉感情を傷つけることにより成立する犯罪のことを言います。口頭・書面など方法を問わず、他人に対して抽象的に軽べつの意味を込めた表現をすれば、侮辱罪にあたります。

侮辱罪が成立するための要件とは

侮辱罪が成立するためには、「侮辱行為の違法性が強度で、社会通念上許容される範囲を超えた」ことがまず必要です。具体的に言うと、次の4つが要件となります。

  1. 具体的な事実を摘示しないこと
  2. 不特定多数が知りうる状態でなされたこと
  3. 自然人や法人が対象となること
  4. 人の社会的評価を低下させること

対象者性の要件を検討する必要あり

同定可能性は必要ない

侮辱罪で問題となるのは「被害者自身がその書き込み内容などについてどのように評価するか」であり、外部からの評価は問題とはなりません。そのため、誰に向けられたものかを特定するための同定可能性は不要であると言われています。

自分が被害者という合理的説明が可能であればよい

とはいえ、自分のこととは全く関係のないことを侮辱だと訴えられることも問題があります。そこで、名誉感情が侵害されるかどうかについては、自分が被害者であるとする合理的合理的説明が可能であることを要件として考えなければなりません。これを「対象者性の要件」と言います。

名誉毀損罪と侮辱罪の違いはどこにある?

名誉毀損罪と侮辱罪の定義や成立要件について見てきましたが、両者の違いとはどこにあるのでしょうか。主な相違点は以下の2点が挙げられます。

事実の摘示があるかどうか

名誉毀損罪と侮辱罪との大きな違いは、「具体的な事実の適示があるかどうか」です。あるインターネット上での書き込みなどに具体的事実の適示があれば名誉毀損罪に、適示がなければ侮辱罪に相当します。

名誉毀損罪になるケース

書き込みなどの内容に具体的事実の摘示がある場合は、名誉毀損罪が成立します。たとえば「◯◯会社の営業部のAさんと秘書のBさんは不倫関係にある」といった場合は、具体的に事実関係を述べているため、名誉毀損罪になります。

摘示がなければ侮辱罪になる

一方、具体的な事実の適示がない場合は、侮辱罪が成立します。たとえば「Aさんは浪費癖がある」という場合は、Aさんという個人名は出されているものの、どんな形でお金を浪費しているのかについて具体的な内容がないため侮辱罪に相当することになります。

罪の重さが違う

名誉毀損罪と侮辱罪は、成立要件の違いから罪の重さも異なります。名誉毀損のほうがより事実の具体性が高くなるため、罪も重くなる傾向にあります。

名誉毀損罪の場合

名誉毀損罪が成立すると、「3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金」が科せられることになります。公然と具体的な事実が摘示されていることが成立要件とされているため、罪も必然的に重くなると考えられています。

侮辱罪の場合

一方、侮辱罪が成立した場合は「1日以上30日未満の拘留または1000円以上1万円未満の科料」に処せられることとなります。書き込みの事実内容に具体性がないため、名誉毀損罪に比べて罪が軽くなっています。

慰謝料の相場

名誉毀損された場合も侮辱された場合も、慰謝料が求められるケースがあります。被害者が一般人の場合の、慰謝料の金額の相場はおよそ10万円~50万円程度ですが、ヌード写真が公開されたなどの特殊事情があれば数百万円になることもあります。一方、有名人の場合は、慰謝料相場は数百万円レベルです。過去の判例では、慰謝料が400万〜600万円程度になったこともあります。

誰もが手軽にインターネットで発信できるようになったからこそ、ネットで誰かの名誉を毀損したり侮辱したりするケースが増えています。もし被害に遭ってしまったときは、IT分野に強い弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、相手方との示談交渉はもちろん、法的手段に出ることもできます。できるだけ迅速に手を打つことが、問題解決への早道です。

※1:警察庁「平成28年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威情勢等について」の統計データを参照
※2:中澤祐一『インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル(第2版)』(2016年、中央経済社) pp.41-42

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