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誹謗中傷や名誉毀損に関する法律(権利)

  • 2016年10月28日 | 5,845view

送信防止措置依頼書の書き方|作成する際の注意ポイント

送信防止措置依頼書

インターネット上で特定の誰かを誹謗中傷したり風評被害につながるような書き込みがされた場合、一刻も早く削除しなければなりません。その手段の一つとして、プロバイダー責任制限法に基づき送信防止措置依頼書を使ってサイト管理人などに該当記事の削除を依頼する方法があります。依頼書を作成する際のポイントについて見ていきましょう。

送信防止措置依頼って何?

インターネット上で、特定の人物や企業に対する誹謗中傷や風評被害につながるような投稿がされた場合、どんどん拡散されてしまう前に一刻も早く書き込みを削除することが必要です。

書き込みの削除依頼とテレコムサービス協会のかかわり

書き込みの削除依頼は、プロバイダ責任制限法のガイドラインに基づき、サイト管理人やプロバイダーに対して行うことができるとされています。削除依頼をするときは、テレコムサービス協会が提供する書式を用いるとスムーズでしょう。

テレコムサービス協会とは

テレコムサービス協会とは、情報通信に関わるインターネットサービスブロバイダー(ISP)、ケーブルテレビ、回線事業者、コンテンツプロバイダーなど、ネットワークに関わる事業者を会員とする一般社団法人のことを言います。別名「テレサ協」とも呼ばれ、全国に支部組織を持っています。

テレコムサービス協会の活動とは

テレコムサービス協会は「多様な情報通信サービスの創出」「健全な競争市場の発展」「安心・安全なネットワーク社会の実現」を目標に、プロバイダー責任制限法に関するガイドラインの作成や公表を行っている団体です。その一環として、送信防止措置依頼書や発信者情報開示請求書のフォームなどを提供しています。

送信防止措置依頼の方法はガイドラインで示されている

送信防止措置に関する手続きについては、プロバイダー責任制限法に関するガイドラインで定められています。該当箇所をよく理解した上で、削除の手続きを進めましょう。よくわからないときは、ネット問題に強い弁護士に相談することがおすすめです。

ガイドライン上の「送信防止措置依頼」=「削除依頼」のこと

テレサ協がガイドライン上で示している「送信防止措置依頼」とは、削除依頼を行うことを指します。これは、情報はユーザーによって送受信されており、有害な情報の送信を防止してしまえば、ユーザーは当該情報の受信ができなくなるとの考え方に基づき名付けられました。

ガイドラインを見れば、削除のための手続きがわかる

テレサ協が作成しているガイドラインには、特定の個人や企業の権利侵害に関わる情報について削除ができる旨や削除の手順が定められています。では、書き込みの削除を行うための送信防止措置依頼をするときのポイントや手順はどのようになっているのでしょうか。

送信防止措置依頼書を作成するときのポイント

送信防止措置依頼をするには、まず送信防止措置依頼書を作成しなければなりません。記載する項目と、作成するときのポイントについてみてみましょう。

記載すべき項目とは

送信防止措置依頼書に記入すべき項目は以下の4つです。内容が不十分だと送信防止措置依頼の要件を満たさないおそれがあるため、過不足なく明確に書きましょう。

掲載されている場所

該当する書き込みのあるウェブサイトのURLを記載します。後述するとおり、問題のある投稿がなされているサイトのURLすべてを記載することになるので注意しましょう。

掲載されている情報

どのような内容の書き込みがされているかを要約して記入します。書き込み自体が依頼書の該当枠に収まるほど短ければ、内容をコピー&ペーストしても構いません。

侵害されたとする権利

こちらには侵害されたと思われる権利の名称を書きます。書かれる権利の傾向としては、プライバシー権や名誉権になることが多いです。

侵害されたとする理由

ここでは、なぜ権利侵害されたと思ったのかについて記載しましょう。前述の「侵害されたとする権利」と話がつながるような内容にすることがコツです。

送信防止措置依頼書作成時の注意ポイント

これまで送信防止措置依頼書に書くべき内容について見てきましたが、実際に書くときにはいくつか注意すべきポイントがあります。そのポイントとは何でしょうか。

該当するURLを全部記載する

まず、問題のある投稿が載っているサイトのURLをすべて記載しなければなりません。掲示板などのトップページだけでは不十分です。掲示板であれば、スレッド全体なのか、スレッドの中のレスポンスのひとつなのかについても具体的に記載する必要が有ります。

侵害された「権利」と「理由」の整合性もたせる

「侵害された権利」と「侵害されたとする理由」については、双方の内容が矛盾しないことがポイントです。たとえば、侵害された権利が「名誉権」なのに、侵害されたとする理由が「プライバシーを侵害されたから」というのでは整合性がとれなくなってしまいます。侵害された「権利」とその「理由」については、整合性をきちんと持たせましょう。

背景事情と違法性阻却事由がないことを述べる

「侵害されたとする理由」については、背景となる事情についても理由と併せて説明しましょう。その際、書き込み内容に違法となる事由がないことについても述べることができればベターです。

送信防止措置依頼をするとどうなる?

送信防止措置依頼書が書けたら、いよいよ実際にサイト管理人やプロバイダーに対して、プロバイダー責任制限法のガイドラインに基づき送信防止措置依頼手続きをすることになります。

送信防止措置依頼の流れとは

ここでは、裁判外で送信防止措置依頼手続をするときの手順を示しています。もし、この手順を踏んでも相手方が請求に応じなければ、裁判所に仮処分を申し立てて削除申請を行うことになります。

サイト管理人に対し、書面で申立てを行う

下記の書類を準備して簡易書留など記録の残る方法で郵送します。申立人本人が請求しているとわかるように、送信防止措置依頼書には実印を押した上で、印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)を添付することが必要です。

  • 送信防止措置依頼書
  • 権利侵害されたとする書き込み内容がわかるエビデンス(画面のキャプチャなど)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)の写し

サイト管理人などに書類が審査される

サイト管理人側に書類が届くと、申立人の確認や侵害情報などの特定など一定の審査がなされます。審査は書類到着後、通常3〜4日で完了しますが、最大1週間ほどかかることがあります。サイト管理人自身が送信防止措置を講じてよいかどうか判断ができない場合は、発信者に対して照会手続きをとります。

サイト管理人などが情報発信者に照会

サイト管理人が発信者情報を把握している場合、配達記録郵便などを使って発信者に対して書き込みを削除して良いかを照会します。一般的に、発信者から7日以内に回答が得られない場合は書き込みが削除されます。サイト管理人が発信者情報を有していない場合は、照会手続きをとらなくても「権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由」があれば削除ができるものとされています。

発信者から不同意の意思表示や反論があった場合

発信者から「削除に同意しない」との意思表示や削除に対する反論があった場合、特にその理由が書かれていなければ、「権利が不当に侵害されている」と思われる相当な理由があればサイト管理人は該当の書き込みを削除できるとされています。また、反論の内容が不合理なもの出会った場合もサイト管理人自身の判断で削除することが可能です。

誹謗中傷や風評被害につながる書き込みが削除されれば、拡散される心配がなくなるため、ひとまずは安心です。しかし、発信者を野放しにしておくとまた同じような書き込みがなされる恐れもあるので、必要に応じて発信者情報開示請求の手続きも行うとよいでしょう。その際は、ネット問題に強い弁護士に力を借りて手続きを進めることをおすすめします。

ネット誹謗中傷問題に強い弁護士事務所

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