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誹謗中傷や名誉毀損に関する法律(権利)

  • 2016年10月17日 | 6,560view

イニシャル、伏字、源氏名での誹謗中傷は個人が特定されると名誉毀損に

スマホ操作

近年、世代問わず、スマートフォンやSNSの普及が急速に進んでいます。こういったものを心ない人々が誰かを誹謗中傷したりする目的で利用することもあり、インターネットによる人権侵害の発生が後を絶たないのが現状です。イニシャルや伏字、源氏名での誹謗中傷による名誉毀損が起こった場合、どう対処すればよいかについて見ていきましょう。

インターネット上の名誉毀損とは何か

近年、インターネット掲示板だけではなく、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアやブログでの悪質な名誉毀損がニュースとして話題になっています。

名誉毀損の相談件数の現状

平成28年上半期のサイバー犯罪の相談件数は66,739件です。そのうち、名誉毀損・誹謗中傷等に関する相談件数は5,480件となっています。平成23年から27年の過去5年間を見ても、年間10,000件前後で推移しており、いっこうに減少する気配がありません(※1)

名誉毀損罪って何?

まず、「名誉毀損」とはどういったケースを指すのでしょうか。刑法230条によると、名誉毀損とは「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損」することと規定されています。すなわち、不特定あるいは多数の人たちが認識できる状況で、だれかの社会的評価を低下させるような行為をすれば、名誉毀損にあたるのです。

名誉毀損になる表現の例

では、実際にどのような表現が名誉毀損にあたるのかを考えてみましょう。例えば、

「高田馬場の『あかさたな寿司』の店主は、国産と謳いながら外国産の危険な養殖うなぎを使っている。」

と言えば、この事実の真偽がどうあれ寿司屋の店主の社会的評価を低下させ、お客さんが極端に減ることになれば、名誉毀損と認められる可能性は高いでしょう。「人」には法人も含まれますので、お店の名誉を毀損された場合でも、名誉棄損罪になる可能性があります。

名誉毀損罪と侮辱罪の違いとは

次に、名誉毀損罪と侮辱罪は似たようなことを指しますが、違いはあるのでしょうか。両者の違いについて見ていきましょう。

侮辱罪って何?

侮辱罪は、刑法231条で「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」と規定されています。つまり、不特定あるいは多数の人たちが認識できる状況で、態様を問わず、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することが侮辱罪となります。

具体的事実の摘示があれば名誉毀損罪、なければ侮辱罪

上記の例で言うと、

「あかさたな寿司」の店主は「下手くそ」

と書き込みすれば、これは名誉毀損罪ではなく、侮辱罪に該当します。公然と人を侮辱する内容のもので侮辱罪には該当しますが、どのように下手くそなのかという具体的な事実の摘示がないため、名誉毀損罪までには当たりません。

イニシャル、伏字、源氏名による名誉毀損とは

それでは、これがイニシャル、伏字、源氏名によって書き込まれた場合はどうでしょうか。「本名を出さなければ平気だろう」と考える人は多いかもしれませんが、イニシャルなどでも名誉毀損が成立することは十分ありえます。

イニシャル、伏字、源氏名によって名誉毀損が成立するケースとは

とはいえ、名誉毀損罪が成立するかどうかは書き方によって異なります。名誉毀損罪が成立する具体的な例を見てみましょう。

誰のことかが特定できれば名誉毀損になることも

たとえば、店名がイニシャルになっている場合は名誉毀損にあたるのでしょうか?

「高田馬場の馬場通りにある「A寿司」の店主は、国産と謳いながら外国産の危険な養殖うなぎを使っている。」

馬場通りには寿司屋は3軒ありますが、Aに相当しそうな店名の寿司屋は「あかさたな寿司」しかなく、その寿司屋の店主はひとりしか存在しません。このように、名誉毀損に該当するかは、たとえイニシャルや伏字、源氏名といっても、文脈からどこの誰と個人を特定することができるか否かが重要になります。プライバシーを侵害するような内容の場合は、民法上の不法行為として、損害賠償などの対象ともなります。

損害賠償請求が認められないケースもある

上記のケースで名誉毀損罪に該当するにしても、以下すべてに当てはまる場合は損害賠償請求が認められないことがあります。

  • 公共の利害に関する事実にかかわるものであること(事実の公共性)
  • 専ら公益を図る目的があること(目的の公益性)
  • 真実であると証明されるか、真実であると信ずるについて相当の理由があること(真実性の証明)

これにすべて該当すると、表現内容が違法とはならなくなります。あわせて覚えておくといいでしょう。

イニシャル、伏字、源氏名によって名誉毀損が成立しないケース

イニシャルや伏字、源氏名を使って誹謗中傷の書き込みをしても、名誉毀損が成立しないケースがあります。それはどのような場合でしょうか。

個人・法人を特定できない場合

以下の例を見てみましょう。

「A寿司」の店主は、国産と謳いながら外国産の危険な養殖うなぎを使っている。

この記述だと、「A寿司」がどこにあるお店かがわからないため、店主が誰かを特定することができません。このような場合は、名誉毀損は成立しないことになります。

書き込まれた対象が貶められなければ成立しない

具体的にどこの誰かが特定されなければ、書き込みをされた人の社会的評価が貶められることはありません。前述のとおり、名誉毀損が成立するには文脈からどこの誰と特定できるかどうかがカギとなるのです。

名誉毀損罪やプライバシー権侵害の場合にどう対処するか

書き込みが名誉毀損罪やプライバシー権侵害などに該当する場合、そのまま野放しにしておくとどんどん拡散し、削除するにも削除しきれない状態となってしまいます。では、その場合、どのように対処するべきでしょうか。

任意で削除請求を行う場合

まずは、削除申請フォームなどを利用して書き込みの削除を要請します。要請に応じなければ、ITに強い弁護士に相談して法的手段も検討したほうがよいでしょう。

サイト管理者に削除依頼をする

まずは日時を記録して、削除を請求したい書き込みや情報をプリントアウトしたり、画面のキャプチャーを保存しておきましょう。そして、そのサイトの管理者やお問い合わせ先などに、メールや削除依頼フォームを利用して削除の依頼を行います。

削除依頼に応じてもらえなければ法的措置も検討

メールや申請フォームベースでの削除依頼をしても応じてもらえない場合は、その掲示板などの管理者、運営会社、プロバイダに「発信者情報の開示請求」を行います。これは、プロバイダ責任制限法で認められている方法です。そして、発信者情報開示請求をしたにもかかわらず拒否された場合には、裁判所に対して「削除の仮処分申請」を行うことができます。

法的手段(仮処分申請)による削除請求を行う場合

発信者情報開示請求を拒否された場合には、法的措置として削除の仮処分申請を行うことになりますので、まずはITに強い弁護士に相談しましょう。弁護士に手続きや書類の準備など一切をお任せするとスムーズです。

弁護士が仮処分申請を行う

ITに強い弁護士に相談して委託契約を結び、仮処分申請の依頼をします。裁判は結論が出るまでに半年〜1年以上の月日を要しますが、仮処分は通常1〜2ヶ月で決定が下されます。そのため、まずは仮処分申請が行われることが多いのが現状です。

仮処分申請からの流れはどのようになっている?

仮処分を裁判所に申し立てると、裁判期日が設定されます。特にサイト管理者から反論がなければ裁判官から担保の金額を告知され、このお金を法務局で供託すると削除決定通知がサイト管理者に送られます。仮処分ではありますが、実際のところ、サイト管理者が削除した情報を復活させるということもほとんどありません。

その他の法的措置について〜民事訴訟と刑事訴訟〜

仮処分申請以外の法的措置はどのようなものがあるでしょうか。法的措置は「民事訴訟」と「刑事訴訟」の2通りに分かれますので、それぞれについて見ていきましょう。

民事訴訟を行う場合

民事訴訟については、一般的には民法709条の不法行為責任に基づく損害賠償請求を行います。また、お店や企業に売上減などの損害が発生すれば、その賠償請求も可能です。損害賠償請求は投稿者だけではなく、サイトの管理会社などに対しても行うことができます。

刑事訴訟を行う場合

また、名誉毀損罪などに基づき刑事訴訟を提起することが可能です。悪質なケースでは、警察が出動して発信者を追跡し、逮捕します。そうなると、被疑者は刑事告訴され、裁判で有罪判決を受けることもあります。

イニシャルなどによる投稿で名誉毀損が成立するかどうかは、判断が難しい場合もあります。依頼者に代わって削除依頼などをするのは、弁護士法上民間業者は取り扱えないため、専門の弁護士に相談することをおすすめします。

※1:警察庁 サイバー犯罪対策ページ「平成28年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢について」 を参照

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