法人個人

ネットの炎上

  • 2017年02月16日 | 2,767view

消費者に気付かれてはいけない!ステルスマーケティングとは

ステルスマーケティング

ステルスマーケティングは、いわゆる「サクラ」を使った宣伝手法です。消費者を騙す側面があり、景表法などに抵触する可能性も近年議論されています。世界中で炎上事例が発生しており、海外では法規制している国もあります。ステマに対する目が厳しくなる中で、発信者は誠実なコミュニケーションを心掛けていかなくてはなりません。

マーケティング用語として知られる「ステルスマーケティング」。最近では悪質な宣伝手法としての認識が高まっており、炎上事件になることも増えています。今回はステマの特徴や問題点について、事例紹介を交えながら考察してみます。

ステルスマーケティングとは何か?

マーケティング用語としてよく使用される「ステルスマーケティング」、通称ステマ。
「隠密」や「目立たないように」「こっそり」という意味の英語に由来したネーミングですが、どのようなマーケティング法かご存知ですか?

古典的なマーケティング法

ステルスマーケティングとは一言でわかりやすく説明するなら「サクラ」です。
お店が人を雇って行列を作らせたり、セミナーなどで参加者を装った内部の人間を紛れ込ませたりするなど、昔からあるやり方ではあります。

第三者を装って自社を宣伝

ステルスマーケティングは、インターネットと使ったマーケティングやプロモーションが盛んになるにつれ注目されるようになりました。
ネットの世界におけるステマとは、企業から金銭などを受け取っているにもかかわらず、そのことを隠したり偽ったりして情報発信を行うこと全般を指します。
第三者的な立場を装って、特定の企業や製品について宣伝と気付かれないように宣伝したり、あくまで中立的な立場に見せかけて良いクチコミや評価をしたりする行為がそれにあたります。
最近は、消費者が何かを購入するときに、ネット上のレビューやクチコミを重視する傾向にあります。
第三者を装って自社の宣伝する事は、そのような消費者に対してアピールするのに有効な手段と考えられているわけです。

SNSで影響力のある人に依頼

自分が装うだけでなく、有名なブロガーやタレントなどに依頼されるケースも増えています。商品やサービスを提供したり紹介したりして、宣伝色を出さずにレコメンド記事を書いてもらったり、プラスになる内容のレビューを投稿してもらったりするのも、ステマの1つです。

ネガティブ情報のまき散らしも

良い印象を与えるための記事だけでなく、ライバル企業や製品について悪い印象と憶測を与えるために、第三者を装って批判的なレビューを書き込む行為も存在します。
ネガティブキャンペーンもしくはFUDと言われるステマの一種で、競争相手の評判を下げることで自社を有利にすることを目的とします。
小規模な事業者はこのような書き込みの被害で廃業に追い込まれることもあり、悪質な行為に対して広告倫理を問う声も挙がっています。

ステルスマーケティングの問題点

多くの人が信用しているクチコミ情報を偽装するようなステマの行為は、卑劣な宣伝手法であるとして、インターネットにおいては数年前から反発が強まっています。あからさまになり過ぎた結果、かえって消費者の不信感を買ってしまい逆効果となるケースも増えています。

消費者を騙す側面がある

ステマは、クチコミやレビュー内容を操作することで、自社の利益に繋げようとする売り手目線の行為です。純粋にクチコミなどを参考にして、商品やサービスを見極めたいと考える消費者側からすれば、騙されたと言っても過言ではありません。

法律違反の可能性も

業者が一般消費者になりすますこと自体は、現在の日本では禁止されていません。そのため、ステマ行為が直接違法であるとは言えませんが、抵触する可能性が高いと思われる法律はあります。それが、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」です。同法では、「実際より良く見せかけること」である「優良誤認表示」「有利誤認表示」が禁止事項として定められています。

海外と日本での規制

日本国内では消費者庁が、景品表示法のガイドラインを公表し、抵触する可能性を示す程度にとどまっていますが、欧米などの国の中には、法律によって明確にステマが禁止されている国も存在します。
イギリスでは2008年に「不公正取引から消費者を保護するための法律」(CPUTR)が制定され、虚偽のクチコミやPRだと知らせない宣伝活動などを法律で規制。ステマを違法として取り締まっています。
また、アメリカでは2009年に連邦取引委員会 (FTC)が「広告における推薦及び証言の使用に関するガイドライン」 を策定。広告と明記していないクチコミにおいて、発信者と広告主との間に利益供与などがあった場合、「欺瞞的な行為又は慣行」とされ違法との判断もされています。

ステルスマーケティングの炎上事例

取り締まりの有無に関わらず、ステルスマーケティングはそれが宣伝であることを意図的に隠すやり方であり、日本でも海外でもモラルに反するという声は少なくありません。ステマが発覚した場合非難の対象となり、いわゆる炎上と呼ばれる騒ぎになることも多くなっています。

海外の有名なステルスマーケティング事例

ステマが古くから行われているのは、日本だけではありません。イギリスやアメリカでは規制が厳しいと触れましたが、それほど海外でもステマによって炎上した事例が数多く存在するのです。その一部をご紹介します。

Zipatoni社事件

米ソニーコンピューターエンターテイメントの商品であるPSPを宣伝するため、「all I want for xmas is psp(クリスマスにはPSP以外いらない)」という名の、個人ファンサイトが立ち上げられました。
PSPのファンだという若い男がサイト内で商品を絶賛し、親にPSPを買わせる方法などを紹介していました。
ところが、一部内容を不信に思ったユーザーが調査したところ、このサイトはマーケティング会社Zipatoni社によって運営されていた事が発覚。
インターネット掲示板にこの事実が書き込まれると、メディアでも一斉に報道され、該当サイトが炎上しました。
この事態に対して、米ソニーコンピューターエンターテイメントは謝罪文を発表しました。

ソニー・デビットマニング事件

米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、2001年に自社映画作品の宣伝として、週刊誌のプレス上に評論家からの映画や出演俳優を褒めちぎった推薦コメントを掲載しました。
しかし実際には、この評論家は存在せず、コメントは米ソニー・ピクチャーズのねつ造であったことが発覚。

米ソニー・ピクチャーズは経営陣のうち2名を一時停職とし、宣伝活動において監視体制を強化すると発表しました。しかし、映画ファンから批評のねつ造によって被害を受けたと主張され、損害賠償を求める訴訟に発展。ソニーは訴訟を申し立てた観客1人につき5ドル、合計150万ドル(約1億6000万円)の賠償金を支払うことになりました。

日本の有名なステルスマーケティング事例

日本でもステマにより炎上する事件は近年、後を絶ちません。一般人のヤラセを見抜く力や、本当の発信元を追求する力が強まっており、悪質な行為は表沙汰になって非難の対象となるケースが増えています。炎上はネットの世界だけでなく実社会にも影響を及ぼしています。

ペニーオークション事件

インターネットオークションサイト「ペニーオークション」の宣伝を目的とし、芸能人が同オークションで商品を落札したとの内容をブログで投稿した問題が、日本では有名な事件です。

芸能人たちは実際には落札していないにも関わらず、30万円~100万円を超える報酬を受け取って、「安価で落札した」などと虚偽のブログを投稿。読者をペニーオークションサイトへ誘導していました。

ペニーオークションは、落札できなくても入札自体に手数料がかかるシステムで、これを悪用し参加者が落札できないようにして手数料を騙し取るという詐欺事件が発生。逮捕者も出ました。結果的に犯罪の片棒を担がされる恰好となってしまった芸能人たちが批判を受け、謝罪するにいたったのでした。

食べログ事件

人気グルメサイト「食べログ」で、飲食店から報酬を受け取ってそのお店に好意的なクチコミを投稿する「やらせ業者」の活動が発覚した事件も有名です。

業者から営業を受けた飲食店側が、「食べログ」を運営するカカクコムに通報し、事態が発覚。同社の調査によると、やらせを持ちかけていた業者は39にものぼったようで、消費者庁も調査に乗り出しました。

今後ステルスマーケティングはなくなっていくのか

口コミサイトの内容が売れ行きを左右する時代。レビューサイトでは、ステマかと疑われるような書き込みが溢れていますが、どれが本当にステマなのかを特定するのは簡単ではありません。
取り締まり強化を望む声も高まる中、今後、ステマはなくなっていくのでしょうか。

ステマに対して厳しい時代に

一連の事件により「ステマ」が一般に広く認知されるに従い、消費者の目はどんどん厳しくなっています。TwitterなどのSNSでは、疑惑のある企業に関する情報が拡散され、一気に広まるという事態がたびたび起きています。

取り締まりの強化

2012年5月、消費者庁は「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の一部を改定。そこで、クチコミサイトなどにおけるステルスマーケティングの手法について、景品表示法違反の「不当表示の禁止」に該当する恐れがあるという旨を指摘する事項を追加されました。

商品やサービスを提供する事業者がクチコミ代行業者などに依頼して、あたかも一般消費者から好評価を多数受けているかのように評価を変動させることが問題として挙げられています。ただ、依然として具体的な表示が景品表示法に違反するかどうかは、個々の事案ごとに判断が必要とされています。

また、2015年3月にインターネット広告推進協議会が「ネイティブ広告」に関するガイドラインを策定。通常の記事と同様に作られた広告コンテンツは「広告」「PR」「AD」などの表記を必ず行うこととしています。

消費者の意識

ステマに対する消費者の意識も過敏になりつつあります。
2012年3月に発表された「ステルスマーケティングに関する意識調査」(株式会社PR TIMES調べ)では、どのような事例がステマに相当するかという質問に対して、「対価の受け取りや商品提供を明示した上で、個人ブログで特定の商品を紹介する」こともステマだと捉える一般回答者が42.0%にのぼりました。広告関係者が29.1%だったのと比べると格段に多い割合であり、両者の間には認識に大きな差があることが明らかになった結果と言えます。

10~50代の一般男女500名、広告関係者200名、2ちゃんねるに継続投稿するユーザー(2ちゃんねらー)100名の合計800名を対象

健全な宣伝活動のために 

 
現在では、多くの人がネット上に上がった情報を、企業が発信したもの、個人が投稿したものを含めて信用し、自身の行動の参考にしています。消費者を欺くようなステマに対する目が厳しくなる中、発信者はどのように振る舞えば良いでしょうか。

発信マナーを守る

以下に挙げることは、今やネットで発信する際のマナーと言えます。悪意がなくとも、知らずのうちにステマに加担しないために、読む人の不利益にならないかを注意深く考えて発言するようにすることをおすすめします。

  • 宣伝する場合は必ず「広告」「PR」「AD」などの表記する
  • 宣伝を依頼された時は、依頼されている事実を隠さない
  • 宣伝を依頼されているのに、一般消費者を装わない
  • 企業や商品、サービスとの関係性を明記する
  • 評価を誇張させたり、誤解を与えたりする表現をしない
  • 嘘の記載をしない
  • 献本や献品、サンプル提供などがあった場合にはその旨を明記する

こちらからPRを依頼する場合にも「依頼されて書いていること」を明記してもらい、記事の内容に関しては指図しないようにしましょう。

信頼と共感のコミュニケーション

正当なもの、偽装されたものを含め、ネット上にはたくさんのクチコミが存在しています。

その中で、消費者はどの情報が真実であるか、誰の情報が誠実であるかを見極めようと、日々厳しい目を注いでいます。そんな中で誰のどの情報が信頼と共感に足るかを判断する決め手となっているのは、結局のところ日頃のマーケティング・コミュニケーションではないでしょうか。

信頼されるためには、単なる発信者と情報の受け手という関係ではなく、「ファン」という立場で一般消費者へ情報を橋渡ししてくれる第三者を、いかに味方につけることが出来るかがポイントとなることと思われます。

クチコミ重視時代のマーケティング戦略においては、ソーシャルメディアを通じた消費者との直接的な対話や交流も重要になると言えるでしょう。

一度ステマが発覚すると、当事者だけでなく業界に対しての不信感が強まり、多くの人や企業に大きな不利益が生じます。ステマは事業者にとっても、業界にとっても、何よりユーザーにとっても負のスパイラルしか生み出しません。発信者にはモラルを守った振る舞いがますます求められていくでしょう。

ネット誹謗中傷問題に強い弁護士事務所

こんな記事も一緒に読まれています

同じカテゴリの関連記事

風評被害でお困りの方へ

ネットの誹謗中傷でお悩みならまずはご相談ください。

  • ネット誹謗中傷の削除
  • 誹謗中傷犯人の特定
  • 検索結果からの削除

インターネットの利用者は、人口の80%程となっています。

スマホの登場やSNSの利用者増加に伴い、自社サイトを持たないお店であってもネットの風評は見逃せない時代になっています

法人から個人も弁護士に相談を

ネットの風評被害にお悩みの企業様から、個人の方も相談可能な弁護士を掲載しています。

  【運営会社】株式会社Agoora 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-7-1-302
© 2019 Agoora.inc.