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ネットの炎上

  • 2017年10月17日 | 4,514view

「牛丼に胃液」「肉鍋にゲロ吐いた」のつぶやきから炎上した事例

牛丼

ネットに投稿した不適切な書き込みが非難を浴び騒ぎになる炎上問題が後を絶ちません。特に、食品に関わる不適切な投稿の場合、敏感に反応する人はどうしても多く、特に注意しなければならない問題です。今回紹介する“「牛丼に胃液」「肉鍋にゲロ吐いた」のつぶやきから炎上した事例”は、外食産業全体に大きな波紋を起こしました。

「牛丼に胃液」「肉鍋にゲロ吐いた」のつぶやきから炎上した事例

ネットに不適切な投稿をしたことで批判を受ける“炎上”騒ぎは数え上げれば枚挙に暇がありませんが、このケースは頻繁に起こる炎上事例とはまた違った角度から検証する必要があります。

牛丼チェーン店「すき屋」で不適切な投稿をして炎上

大手牛丼チェーン店「すき屋」でアルバイト店員が「牛丼に胃液」「肉鍋にゲロ吐いた」と投稿し大炎上した事例があります。

「肉鍋にゲロ吐いてきます」と投稿し炎上

問題の投稿がなされたのは2012年2月11日のことでした。すき家のアルバイト店員を名乗るTwitterユーザーが「頭痛と吐き気がやばくて動けないんだけど疑われて無理やりシフト入れと言われたので肉鍋にゲロ吐いてきます」「お客様の食べている牛丼は私の胃液が入っているかもしれませんね」と意に反して就業を強いられた腹いせに商品に異物を混入させることをつぶやきます。その投稿にTwitterやネット掲示板では「これはジョークでもきつい」「今日牛丼食ったんだけど…」「しゃれにならんな」等のコメントが書き込まれユーザーに動揺が広がりました。

その後のコメントでさらに炎上

しかしその一方で「え、いやいくらなんでもこれは冗談だろ。これだけでここまで叩かれるの」 「こいつもアホだけど、この程度で叩くのは流石に可哀想」と、異物混入をツイートしたユーザーを擁護する声もありました。そして更に彼は何を思ったか最初の投稿から4時間半後に「病院行ったら胃腸風邪かノロウィルスの類と診断されました」とツイートし、批判が殺到、一層炎上したのです。

すき家の対応は謝罪どまり!

当事例に対するすき家の対応はHPで謝罪するにとどまりましたが、このことに対しても「甘すぎる」「責任を取らせないといけない」等と批判の声があります。

運営元のゼンショーは“書き込み内容は嘘”と主張

この事態を受けてすき家の運営元である「ゼンショーホールディングス」は17日夜にホームページ上で「書き込み主と店舗を特定し、本人及び店舗の担当者から事情を聞いたところ、当日は書き込んだ本人は就業しておらず、無理な就業を強いた事実もなかった。この人物はその後も働いているが、異物を混入させる行ためはなかった」、とした上で謝罪文を掲載しています。

解雇や損害賠償請求には及ばなかった

書き込み主は「皆様の食に対する不快感を与えてしまったことを深くお詫び申し上げます。飲食店に勤めている意識を持ち、異物混入の件ですか無論本当の事ではございません。」と謝罪しています。Twitterのアカウントは現在非公開になっていますが最終的に彼は、損害賠償請求や解雇されることもありませんでした。この対応にネットユーザーは「処分は下すべき」「甘すぎる」「責任を取らせないとマネする奴が出るぞ」等と、事件をうやむやにすることに対する批判の声も挙がっています。

すき屋の店員の投稿における問題点

さて当ケースの問題は連日報道される炎上事例のそれとは少し異なる点もあります。それは多くのケースでは“実際に不適切な行動をしている様子”を撮影し、投稿することで批判を受けますが、この事例では“不適切な行動をとる宣言”をしただけで炎上した点です。

冗談では済まされない

しかしそうは言ってもこの事例、現実に大きな波紋を呼び、各メディアで報道されました。書き込み主は“許される冗談“と“許されざる嘘”の区別がつかなかったためにこれほどの大騒動に発展したのです。

冗談ではなく悪質な嘘

投稿した本人は或いはそこまで悪気はなかったのかもしれません。“ウケ狙い”や“冗談”のつもりだったことでしょう。しかしここまでくるとそれは冗談ではありません。冗談というのは面白いものを言いますし、何より会社や客、その他大勢に多大な迷惑が掛かっているのです。勿論、官僚や企業がする様な隠蔽工作や詐欺行ための様な悪意あっての嘘とは区別すべきですが、これはもはや“度が過ぎた悪質な嘘”と言えます。

被害は当該店舗にとどまらない

更にこの問題の深刻なところは“見込み被害”が尋常でないことです。当該ツイートによる損害は店舗や業界全体にまで及びます。

牛丼そのものの印象が悪化

今回の騒ぎの影響で「牛丼」の外観から「嘔吐物」が連想される様になり牛丼店に行きたくなくなったユーザーは多いと言います。つまりこの事例は“牛丼という料理”そのものの価値を下げたことに他ならず、すき家グループの他の店舗はおろか、牛丼チェーン店全体、延いては外食産業全体にも甚大な悪影響を及ぼしたことになるのです。

外食産業の“痛いところ”が露わになった

また今回の件で「外食産業は裏で何をやられていても客には分からない」ことを人々は再確認したと言えます。勿論これは分かり切ったことでそんなことを言い出したら何もできませんが、今回の事件でその事実を目の当たりにさせられたと言えるでしょう。

この事例の背景にあるもの

一時期世間を騒然とさせた当事例ですが、当該ツイートをするに至った経緯やその背景にも着目する必要があると言えます。

店舗と書き込み主の関係が良好でなかったと予想

書き込み主は問題の投稿の中で「無理矢理シフトに入れと言われたので」という表現を使っていますがこの文面から日頃から店舗や店長に対してのストレスが溜まっていたことが読み取れます。もしも快適に働いていたのなら冗談でも店に不利益が及ぶ様な投稿はしなかったでしょう。

店舗の労働環境にも原因

実際にすき家の劣悪な労働環境が分かる事例に、「寝なきゃいいじゃん炎上」と呼ばれる炎上事例があります。これは働き始めて間もないアルバイトの学生が店長に一方的に深夜シフトに入れられた際、テスト勉強をしなければならないためにそのシフトに入れない旨をメッセージアプリ“LINE”で告げると、社員は「9-14のシフトで9時半からテストだから行けないんですってのならわかるけど、それで0-5出れないってのが意味がわからない」「寝なければいいじゃん」等と返信し、それが明るみに出て批判が殺到したものです。つまり店舗の労働環境があまりに劣悪だったため、アルバイトの店員がその状況を皆に伝えたいと思ったことが書き込みの動機だったかもしれません。
そうなるとこの事例は、店舗の劣悪な勤務体制にも少なからず問題があったと言えます。

“嘘”であったとしても飲食店での不適切投稿は問題

問題の投稿の書き込み主やすき家側は投稿内容が虚言であったとしていますが、大勢の人が利用する“飲食店で”の不衛生な行ためをほのめかす投稿を不特定多数の人が閲覧するインターネットに書き込んだ場合、それだけで甚大な影響が発生するのです。

“嘘であること”の証明ができない

加えて当事例の厄介なところは、問題となった発言の内容を本当に行動に移していないことを証明するのが不可能である点です。真実を知っているのは本人のみで、「肉鍋や牛丼に嘔吐する」といった悪行を“した”ことを証明することはできても“していない”ことは証明できません。無論ゼンショー側も「当日の勤務は無かった」「記録から異物混入の行ためは否定」としていますが、例え実際には当該行ためがあったとしてもそれを公表するとは思えません。

類似の行ためを行うものがいても不思議ではないと人々は感じ始めた

少なくともこれまでは“給料を得ている従業員”たるものが顧客の不利益になる様な行動をとるはずがない、そう信じられてきたことでしょう。しかしこうした事例が起きてしまうとその“性善説”はものの見事に覆されてしまうのです。今回の発言内容の真偽は別にして、悪ふざけであってもこのような投稿をして楽しむ者が飲食店で現実に勤務していることは問題でしょう。

投稿主だけでなく“燃やす側”に問題はないのか

近年立て続けに発生する炎上事例。投稿主も悪いですが、それを叩き、騒ぎ、煽る側即ち“燃やす側”にも問題があるのではないでしょうか。

一度の過ちで人生を破滅させてもよいのか

こうした事例が起こるとネットユーザーはここぞとばかりにネットで集中砲火を浴びせ、個人情報を晒し上げます。しかし一度の過ちでここまでするのが果たして妥当なのでしょうか。

バカッターも悪いがネット私刑も問題

炎上事例で最も非難されるべきは問題となる行動をした人物であることは間違いありませんが、同時にそれを拡散し寄って集って批判し個人情報を突き止め公開する “ネット私刑”もまた問題があると言えます。ネット上に一旦流された情報は拡散し続け、全てを消去することはできません。炎上は鎮まっても名前を検索するといつでも事件が呼び起こされ後の人生でずっと背負い続けなければならないのです。一度の悪ふざけで人の一生を壊滅させる程のダメージを与えるのが適切と言えるのか、この問題も考えなければならないと言えます。

たとえ悪ふざけの嘘であっても、一旦ネット上に投稿すると取り返しのつかない事態になることがあります。自分の発現がネットの向こうの人たちにどのような影響を与えてしまうのか、発言をする前に立ち止まって考えることが重要になってきます。

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