インターネットの仕組みと基礎用語
ホームページの閲覧やメッセージの交換に店舗の予約。様々なことを便利に出来るインターネットは今や私達の暮らしに欠かせないものです。そんな身近なインターネットですが、どの様な仕組みで成り立っているのか不思議に感じる人も多いはず。そこで今回はインターネットの仕組みと基礎用語について詳しく解説していきます。
目次
インターネットの仕組み
インターネットとは一言で言えば世界的なコンピューターネットワークです。まずはインターネットの仕組みを理解するために、基本的なところから具体的に掘り下げていきます。
ネットワークとインターネット
インターネットの語源は「インターネットワーク(internetwork)」です。ではネットワークとは何なのか、ここでは身近なネットワークに共通する特徴を例に挙げながらインターネットの仕組みを見ていきましょう。
インターネットは世界中の様々なコンピューターが接続されたネットワーク
実は普段私達が何気なく使用しているものの中にも、ネットワーク(網)と呼ばれるものが存在します。例えば交通網、テレビ放送網、電話連絡網がそうです。交通網は道路や線路で車や電車を運び、テレビ放送網は電波を使って映像や音楽を運び、電話連絡網では電話線を利用して音声を運びます。ネットワークとは“何らかの繋がりを利用して特定の規則に従い、何かを運ぶもの”なのです。
一方インターネットは“IP(インターネットプロトコル)”に沿ったネットワークです。プロトコルとは通信手順やデータ形式を定めた規格で、インターネット通信においてのルールの様なものです。インターネットは世界中の様々なコンピューターが接続されたネットワークで、インターネット回線を利用して世界中と情報の交信をすることができます。
いろいろな回線で接続
インターネットの接続に利用される回線は複数ありますが大きく一般ユーザー向けの公衆回線と公的機関向けの専用回線に分かれます。前者は個人や企業等が使用するCATV回線や通常の電話回線、光ファイバー回線と言ったもので、後者は大手の企業や大学、研究施設等特定の顧客のみが使用できます。
回線は専用ケーブルを使います。公衆回線でも現在ではほとんど光ファイバー回線になっていますが、電話回線で接続する場合は通話に使用するものと同一の回線を併用することになるので、通話中はインターネットができなかったり利用料金も通話サービスと同じ時間単位の課金であるため、割高になります。対して専用回線では回線の混雑、例えば災害時や特定のウェブページにアクセスが集中した場合等にもその影響を受けません。
加えて公衆回線と比較してセキュリティもしっかりしています。専用回線は主に、公衆回線の途絶時も確保しなければならない通信や、改ざん・盗聴を防止しなければならない通信のセキュリティを確保する目的で存在します。
インターネットはどうして繋がる?
インターネットをする際、検索窓に語句を入力すれば一瞬の内に数多くの検索結果が表示されます。メールの送受信にしてもあっという間に届きます。ではインターネットはどの様な仕組みで成り立っているのでしょうか。
サーバーがクライアントからの要求に従い動く
インターネット上で他のコンピューターに様々な機能やデータを提供するコンピューターをサーバー(server)と呼び、サーバーから提供された情報やサービスを利用するコンピューターをクライアントと呼びます。サーバーにはメールサーバーやwebサーバーといった特定の役割を担うものもあり、これらがクライアントからの要求に従って働くことによってwebページの閲覧やメールの送受信等ができるのです。
インターネット上の住所はIPアドレスで管理
インターネット上でも情報の行き先を管理する住所が必要ですが、それに該当するのが「IPアドレス」です。IPアドレスはパソコンやスマートフォン等、ネットワークに接続された全ての機器に割り当てられ、「212.217.20.01」の様な数字で表示されます。しかし、IPアドレスは数字の羅列に過ぎないため、人間には分かりにくく何かと不便です。そこで分かりやすい様、文字列をIPアドレスに関連つけたものが「ドメイン」です。ネットワークとは上には、ドメインを変換する、つまり名前解決の役割を果たす“DNS(Domain Name System)サーバー”が存在し、ドメイン名をIPアドレスに自動変換することで、電子メールの送り先やホームページの接続先を見つけることができるわけです。
インターネットの基礎用語
インターネットの仕組みを理解する上では、用語を理解しておくことが重要です。そこでまずは基礎的な用語を知識として頭に入れておきましょう。
インターネットサービスプロバイダーって何だろう?
インターネットサービスプロバイダーはインターネットを利用する上で必要不可欠な存在です。そしてインターネットの仕組みを理解する上でも極めて重要な用語です。どんなものなのでしょうか。
インターネットサービスプロバイダーとは
インターネットプロバイダーとは簡単に言うと「インターネットに接続する際に必要な接続アカウントを発行する事業者」です。略してISP、また単にプロバイダーとも呼ばれ、多くの場合インターネットへの接続口を提供するだけでなく電子メールやホームページの開設等のサービスの提供も行っています。
様々な事業者が存在する
また、インターネットプロバイダーにも様々な企業が手掛けるサービスがあります。内容も、アフターサポートが充実したプロバイダーや、高速通信が可能なプロバイダー、高いセキュリティー性がウリのもの、はたまたモバイル通信に強いプロバイダー等実に多岐に渡ります。有料オプションで本格的なサービスを受けられるプロバイダーも多いです。
ルーターって何?
ルーターとはその名の通り、ルート(route)する、経路選択する役割を持ちます。複数のネットワークを相互に接続し、その間のデータの流れを監視・コントロールする装置で、言うなればネットワークの中継ポイントのようなものです。では具体的にはどのようにコントロールするのでしょうか。
ルーターがインターネットで扱うデータを自動的に振り分ける
ルーターにはインターネットで扱うデータを自動的に振り分ける機能があり、インターネット回線を複数のコンピューターで共用できます。例えばコンピューターAとBがあったと仮定しましょう。コンピューターAがホームページへのアクセスを試みる時データの送信要求があれば、ホームページから返ってきたデータをコンピューターAに送るわけです。
IPアドレスを割り振る
LANでファイルのやりとりをするには、コンピューターにネットワークの上の住所にあたるIPアドレスを重複することなく割り振る必要がありますが、ルーターはこの機能も担います。ルーターが複数の端末にIPアドレスを割り当てることによって、全ての端末でインターネットに接続することが可能になります。
インターネットの仕組みを理解する上で重要な用語
ここからは“普段よく耳にするけれど意味はよく知らない人が多い、しかしインターネットの仕組みを理解する上では重要”そんなインターネットの基礎用語について解説していきます。
“ネットワーク上の電話機”モデム・TA
コンピューターから発信された信号はそのままの形式では電話回線に通すことができません。そこで電話回線で送信できる様信号を変換する役目を果たすのが、モデムやTAと呼ばれる装置です。
モデムやTAの役割
パソコンでインターネットを利用する一般的な方法の一つとして、電話回線を使って接続する方法があります。この時必要になるのが、モデムやTA(Terminal Adapter)と呼ばれるコンピューター同士が互いに通信できるようにする装置です。まず送信元のコンピューターから出た信号は、そのコンピューターに接続されたモデムやTAの装置によって電話回線で送信できる形式に変換され、電話回線に送り出されます。そうして送り出された信号は送信先のコンピューターに接続されたモデムやTAの装置で再び元の形式の信号に戻されてそのコンピューターに届けます。
イメージは「電話機」
モデムやTAのこうした役割は電話機の役割によく似ています。電話機は一方の人が発した音声を電話回線で送信可能な形式に変換し、もう一方の人の元に届く仕組みとなっています。人間の声がそのままでは電話回線で送信することができないのと同じように、コンピューターが使う信号もそのままでは電話回線に通すことができないため、モデムやTAを使って変換してから送る必要があるのですね。
LANとWi-Fi
LANやWi-Fi等は馴染みがある人も多いのではないでしょうか。しかしそれがどんなものか、違いは何か等詳しく知らない人も多くいることでしょう。ここではLANやWi-Fiについて解説していきます。
小さなネットワーク“LAN”
オフィスや工場等比較的狭い範囲のコンピューターネットワークをLAN(Local Area Network)と呼びます。LANの存在によってパソコンやプリンタ等をつないで、データの交信ができるのです。データを送るのにケーブルを使用するのが「有線LAN」、使用しないのが「無線LAN」です。
Wi-Fiは認定された無線LAN
では「Wi-Fi スポット」「Wi-Fi 使えます」等の掲示で近年町の至る所で見かけるWi-Fiとの違いは何なのでしょうか。実はWi-Fiとは業界団体であるWi-Fi Allianceによって、無線LAN製品の互換性が認定されたことを示す、ブランド名なのです。実質的には無線LANと等しいと考えてよいでしょう。尚、語源は“忠実な無線通信環境”を意味する「Wireless Fidelity」からきています。
インターネット接続料金の仕組み
インターネットの接続料金はデータが経由する回線の距離にかかわらず料金は一定です。海外への電子メールも特別な料金を上乗せすることなく送信することができます。ではインターネットの接続料金の仕組みはどうなっているのでしょうか。
必要なのはISPまでの費用のみ
端的に言えば、“インターネットを接続する際に必要なのはプロバイダーまでの費用のみなので通信相手との距離に比例して値段が上がることはない”のです。インターネットの基本的な考え方を踏まえて、この辺りを具体的に解説していきます。
“自分の周りは自分で”がインターネットの基本の考え方
そもそもインターネットは特定の誰かが管理している訳ではなく、自分の身の回りは自分で管理するというのが基本概念になります。例えば前述の「専用回線」を持っている組織は自分の周り、すぐ隣との接続に利用している回線の管理、運営の責任を持って行います。この様にインターネットは、接続されている組織が互いに自分の周りを整備することで成り立っているのです。専用回線を持たない利用者は“接続の入り口”を提供してくれるISPに手数料を支払い、回線を管理してもらうことで、インターネットを使うことができます。
必要なのは回線使用料と接続料のみ
例えば電話の場合、接続する相手が遠方になればなるほど料金が高くなります。これは電話の利用者が途中で経由する、全ての回線の利用料金を支払わなければならないからです。対してインターネットに接続するときに必要なのはインターネットサービスプロバイダーまでの利用料金、即ち回線使用料とISPを通じてインターネットを利用するために必要な接続料のみであるため、そこから先はどんなに遠くの相手と交信するときも追加料金がかからないのです。
インターネット用語と仕組み、基礎知識レベルは知っておこう
インターネットの仕組みは非常に複雑で、専門家でもない限り全てを完全に理解するのは難しいでしょう。しかし、少しでも多く、また深く知識を持っておくことで、回線の不具合等のトラブルに見舞われた時、適切な対処ができるのです。