ネットの風評被害・誹謗中傷対策業者の非弁行為は違法です
ネット上の風評被害や誹謗中傷が社会問題化する中、その対策をする業者が増えています。しかし、中には非弁行為と言われる行為を行っている違法業者もいるため、事前に業務の実態をよく確認する必要があります。もし、そのような業者にお金を払ってしまった場合はITに強い弁護士に相談すれば、かかった費用は全額返還請求できます。
風評被害・誹謗中傷対策業者の非弁行為は犯罪です
昨今、インターネットが全世界に普及し、FacebookやtwitterなどのSNSの利用がさかんに行われています。しかし、同時にインターネットへの特定の人物に関するプライバシー侵害や特定の企業への誹謗中傷に関する書き込みが増加しており、社会問題となっています。
弁護士以外の非弁行為は禁止されている
そんな中で頭角を現し始めたのが、インターネット専門の風評被害・誹謗中傷対策業者です。誹謗中傷や風評被害を受けた人は藁をもすがる思いでそういった業者に削除を依頼しますが、中には法律上禁止されている「非弁行為」を行う業者もいるので注意が必要です
非弁行為とは弁護士法72条で禁止されている行為
弁護士法第72条では、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務を取り扱うことを禁止しています。つまり、弁護士登録をしていない者が権利義務などについての争いやその他法律上の問題に関することを扱ってはならないのです。これを「非弁行為」と言います。
違反したらどうなるか?
また、これに違反した者には2年以下の懲役または300万円以下の罰金刑が科されています。さらに、弁護士や弁護士法人がこれらの非弁行為を行う者に名義を貸すなどの手助けをすることも禁止されています。
非弁行為の例とは
たとえば、2ちゃんねるなどの掲示板やブログへの書き込みについて依頼者に代わり削除申請をしたり、発信者情報の開示請求をすることが非弁行為にあたります。これらの行為は権利義務の有無に関する争いであり、弁護士でないと対応ができません。様々な法律上の代理行為ができるはずの司法書士や行政書士ですら、これらの行為は禁止されているのです。
違法業者による被害に遭わないために
違法に非弁行為を行う業者は、依頼人からお金を取るだけ取って何も対応をしなかったり、下手をすれば行方をくらますこともあります。そんな悪徳業者に引っかからないようにするには、ある程度自己防衛をすることも必要です。
業務内容を確認しよう
まず、実際に依頼をする前には業者の業務内容について把握しましょう。検索結果の順位を下げる逆SEO対策やインターネットの監視サービスを行っているくらいであれば、非弁行為にあたらないため、法律上問題になることはないでしょう。逆SEOのことを「削除」と言っている業者もあるので、事前に業務内容をよく確認することが大切です。
弁護士であれば依頼者と直接やりとりするのが原則
弁護士に依頼をするときは、弁護士と依頼者が直接面談して契約するのが原則です。弁護士が依頼者と会うことなく、法律問題に関わる依頼を受けることはありません。業者の中には依頼者に弁護士と直接やりとりさせないところがありますが、そのような業者はまず怪しいと思ってよいでしょう。
会社の実態を探ろう
また、会社の実態についても探ってみることが大切です。ホームページに書かれている住所地に会社があるかGoogleマップで確認したり、電話番号がきちんと使われているかどうか実際に電話をかけたりしてみましょう。可能であれば、実際に会社に出向き、担当者との面会を通して会社の雰囲気を目で見て確かめるのがベストです。
ネット誹謗中傷対策業者の非弁行為が横行している現状とその背景
インターネット誹謗中傷・風評被害対策業者の中には、非弁行為や詐欺まがいの行為を行うような悪徳業者もいます。なぜそのようなことが横行しているのでしょうか。
インターネット誹謗中傷・風評被害対策業者ってどんな業者?
インターネット誹謗中傷・風評被害対策業者は良心的な業者もありますが、中には合法をうたって近づいてくる違法業者もあるので注意しましょう。
インターネット誹謗中傷・風評被害対策業者とは
インターネット誹謗中傷・風評被害対策業者とは、その名の通りインターネット上でいわれのない誹謗中傷や風評被害に関する書き込みに関する対策を行う業者です。これらの業者は主に、インターネット上のパトロールや書き込みの監視、関連キーワードの最適化、逆SEO対策などを行っています。
「合法」を打ち出して近づく業者に注意
非弁行為を行っている業者の中には、弁護士と提携していると言ったり、実在している弁護士の名前を勝手に使ったりしている業者がいます。また、名前も「削除コンサルタント」「◯◯相談センター」「NPO法人◯◯」などと名乗っている場合もあります。依頼をする際には、その業者が行っていることは本当に合法かどうかを弁護士に確認してみましょう。
こんなことを行う業者はあやしいと考えて
以下のようなことを行っている業者はあやしいと考えて間違いないでしょう。
- 費用の支払い先が業者の口座
- 手続きが本人名で行われている
- 依頼者や弁護士名のフリーメールで交渉している(◯◯_◯◯@hotmail.comなど)
- 弁護士名を勝手に使う
- 業者名やスタッフ名で削除申請手続きを行う
非弁行為が横行する理由って?
インターネットでの誹謗中傷・風評被害の問題が顕在化し、増加するにしたがって非弁行為を行う誹謗中傷・風評被害対策業者も横行し始めました。その理由とは一体何なのでしょうか。
メールや申請フォームベースでやりとりをする
インターネット誹謗中傷・対策業者は、メールや申請フォームを通じてインターネットだけでやりとりが成立するものです。そのため、直接被害者と対面や電話でのやりとりがあって証拠の残りやすい示談屋や取立屋とは違い、誹謗中傷・風評被害対策業者は違法なことをしても証拠が残りにくい特徴があります。
依頼者が正常な判断ができない
また、依頼者が業者に依頼をする時点でかなり精神的に追い詰められていることも原因のひとつです。依頼者は、インターネットで根も葉もないデマや悪評を流され、恐怖や怒りのあまり正常な判断ができなくなっています。また、ITに詳しくない人も多いため、そこにつけ込む違法業者は多いです。
被害に遭ったら、ITに強い弁護士に相談を
もし、悪徳な違法業者に依頼をしてしまえば、費用だけ取られて誹謗中傷・風評被害への対策が何もなされない可能性があります。また2次被害に遭う可能性も否定できません。もしそのような被害に遭ったら、ITに強い弁護士に相談することをおすすめします。
違法な誹謗中傷・風評被害対策業者を使うことで受ける被害とは
違法な誹謗中傷・風評被害対策業者を使うと、以下のような被害を受けることが想定されます。このような被害を受けた場合は、ただちにITに強い弁護士に相談しましょう。
せっかく支払った費用が無駄に
相手方から高額な費用を請求されてその費用を支払っても、実態は削除対策を何もやっていない可能性は高いです。違法業者に問い合わせをしても、弁護士がサイト側に削除依頼などをしたように見せかけることがあるので、本当に弁護士が作業をしたのか、その弁護士はどこの弁護士会所属の誰なのか確認する必要があります。
企業のイメージダウンにもつながるおそれあり
また、違法業者から削除依頼を受けたサイト管理者が削除工程を暴露して「非弁炎上」をすることが増えています。企業の場合は、違法業者に依頼したことで企業のイメージダウンやコンプライアンス問題になりかねません。また、発注担当者の責任が追及されることも考えられます。
違法業者に支払った費用は全額返還請求できる
もし、違法業者に費用を支払ってしまっても、ITに強い弁護士に依頼すればかかった費用を全額返還請求できる可能性があります。泣き寝入りせず、弁護士に相談してみましょう。
業者には不当利得返還請求ができる!
民法上、違法な業者にお金を支払ってしまった場合、支払った費用は返還請求できることとなっています。このことを不当利得返還請求と言います。不当利得分は損失を受けた人に返還しなければならず、業者が自分たちの行為が違法とわかっていた場合は利息をつけて返還することが必要です。
ITに強い弁護士に返還請求依頼をしよう
不当利得返還請求は自力でもすることは可能ですが、法律のことをよく知らない素人が直接相手方と交渉をするのは無謀とも言えます。騙されたり脅されたりする可能性もあるので、交渉はITに強い弁護士にお任せするのがベストです。弁護士に依頼をして委任契約が成立すると、示談交渉を開始してくれます。
相手方が応じない場合は訴訟も検討する
業者側が示談交渉に応じないと、支払った費用は返ってきません。示談が難しい場合は訴訟に踏み切るしかありませんが、訴訟にも費用がかかるため費用対効果をよく検討することが大切です。依頼をした弁護士に相談し、訴訟をするかどうか決断するとよいでしょう。
インターネットの風評被害・誹謗中傷対策業者が行う対策方法は業者によって様々で、素人では非弁行為にあたるかどうか判断ができません。ネット上の風評被害や誹謗中傷で困ったことがあれば、まずはITに強い弁護士に相談するのがベストな選択と言えるでしょう。